2050年までのカーボンニュートラル実現に向け、我が国では再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいる。その主力とされる洋上風力については、2030年までに10GW、2040年までに30~45GWの案件形成が国の導入目標として掲げられ、「再エネ海域利用法」に基づいた導入が加速している。こうした流れの中で、洋上風力開発の最も上流に位置する洋上風況調査についても、2023年度に「NEDO 洋上風況観測ガイドブック」が発行され、洋上風況観測のあり方についての基本方針が確定した。

NEDO洋上風況観測ガイドブック」では、国内の洋上風力発電事業で利用するリモートセンシング機器について、事前の精度検証が求められている。そのため、NEDO「洋上風況観測にかかる試験サイトのモデル検討・構築」事業(2022~2023年度)においては、観測機器の精度担保に必要な校正試験サイトの構築を目的として、青森県六ヶ所村に「むつ小川原洋上風況観測試験サイト」が整備された。この試験サイトの運用により、洋上風況調査の迅速化及び高精度化が見込まれ、洋上風力発電の導入促進への貢献が期待されている。 ​

上記NEDO事業終了後、「むつ小川原洋上風況観測試験サイト」の観測設備等の資産一式は、国立大学法人神戸大学に譲渡される。しかし、試験サイトを運営するにあたって、サイト利用者の多彩なニーズへの対応や現場での観測測器の維持管理等、大学では対応が難しい業務を含むため、民間の力を導入して効率的かつ臨機応変に運用していくことが望まれる。そこで、神戸大学と共同で「むつ小川原洋上風況観測試験サイト」の管理運営を行う組織として、この度、「一般社団法人むつ小川原海洋気象観測センター」を設立する。

当法人は、洋上風力発電の導入促進のみならず、その他の再生可能エネルギーの導入促進や気象・海象観測技術の発展への寄与、更には六ヶ所村や青森県をはじめとする地域社会へ貢献することを設立目的とし、事業を行う。​

2024年3月吉日​